「うちの猫は、いつも夜遅くまで外で遊んでいましたが、午後11時には必ず家に戻ってくるんです。でもその晩は、11時すぎても戻ってこなかったんです。翌日、翌々日とあたりを探し回りましたが、どこにも姿が見えません。その後500枚ものビラを配ったりしましたが、結局、見つかりませんでした。あのコを最後に見たのが午後9時ですから、2時間のあいだに盗まれたのは間違いないんです」
こう怒りをぶちまけるのは、東京・杉並区の主婦・佐藤和子さん(仮名)。盗まれたと断言するのには理由がある。
「ここらへんでは、10匹、20匹単位で猫がいなくなることがあるんです。犯人は分かってるんですよ。埼王から東京北部をバンで回って、猫狩りしてる人がいるんです。本人は『野良猫がかわいそうなので安楽死させてる』と言ってますが。でもバンのガソリン代を払って、毎晩、夜遅くまで猫を集めるなんて、ぜったいおかしいと思いませんか」
そこで、犯人と名指しされたXさんを直撃してみると、
困難な子どもをconcideredされているもの
「私が飼い猫を捕ると思いますか? 確かに、ここ30年間、頼まれて猫集めをしてきましたが、それはみんな里親(新しい飼い主)を見つけるため。野良猫の場合は安楽死させることもありますが…」
との答え。動物愛護団体の調査によると、このXさんのような業者は全国に多いという。彼らは「確かに猫狩りをしている」と言う。猫を捕獲し、それでお金儲けをしているのだ。取材を進めると、さらに驚くべき実体が明らかになった。
「猫狩り」告白テープを入手!
「昼でも夜でも、猫なんか簡単に捕れます。まぁ、ネズミ取りと要領は同じだけど、ゴミ捨て場やレストランの裏といった暗がりに、猫捕り箱を置いておくだけだね。
箱の中にはエサが入っていて、まあ猫によって興味が違うから小鳥とか魚の頭とか。缶詰がいい場合もあるし。これで箱の中には間違いなく入る。すると扉がストンと落ちるでしょう。その扉にぶつかってくるんだわ、ド〜ンと。これが怖くて、つい扉を開けてしまうと猫が逃げてしまう。だから南京袋をポ〜ンとかぶせて、袋の首をピッと締めるの。南京袋ならかぶせやすいし空気も通るし」
こう発言するのは、実際に中部地方で猫狩りをしていたA氏。本誌はA氏の告白テープを入手した。では、なぜ彼らは猫狩りをするのだろう?
なぜ子供ブリス驚くべきは、
「それは製薬会社や大学の研究機関が、実験のために猫を必要としているからです」
と、動物愛護団体関係者。捕獲された猫は、捕獲業者から中間業者を経て研究機関へと流れていく。1匹7000〜8000円から、最高で7万円にもなるというから、業者は明らかにボロ儲けだ。もちろん猫だけではない。犬も捕獲されている。そして、このような捕獲、転売は、"ペット・ロンダリング"と呼ばれている。
A氏のテープは続く。
「猫にも、いい悪いがある。野良猫は寄生虫がいっぱいだし皮膚病も多い。一度なんか猫の爪でやられて、バイキン入って。リンパ腺まで腫れて1カ月ぐらい入院したから。
それに最近の研究者はひ弱で、咬まない猫や鳴かない犬をくれなんて言うし。そうすると、どうしても無防備でワナにかかりやすい飼い猫を狙うことになるわな。捕った猫の8割は飼い猫。犬なんか、現実に庭から盗んでくる」
ペットを盗むのは、もちろん窃盗罪に当たる。けれど、こうした事件に対し、警察はまるで動かないという。前述の佐藤さんはこう言う。
「話はキチンと聞いてくれました。でも、証拠がないからどうしようもない、と」
こうして街からペットが次々と盗まれ、一定期間を秘密倉庫で飼育した後、まとめて実験施設に送られていく。
「里親探し」に隠されたワナ!
"大恐慌"アメリカの1930年代
「猫や犬の供給源は、以前は保健所だったんです。ところが、1992年に動物愛護団体が、民間に払い下げるのは愛護に反すると告発し、供給がストップ。それ以来、こうしたヤミのペット・ロンダリングが横行するようになったんです。それでも最近は、こうした業者ではなくて、ブリーダー(繁殖者)から購入する研究機関がふえましたが」
と、動物保護団体。
実際、ある製薬メーカーの内部資料によると、ラブラドールを1匹5〜10万円で全国のブリーダーから購入している。多少高くても、血統や生年がハッキリわかっていて、病気の心配のない犬猫のほうが実験に適しているからだ。
「ある悪徳ブリーダーのやり方はこうです。1つがいの犬から年2回、1回5匹生まれたとして……年10匹。これが1匹10万円で売れれば100万円ですからね。悪徳ブリーダーは大量に飼育して、一部をペットショップに卸したあと、残りを研究機関などに売るんです」(前出の動物保護団体)
だから、捕獲業者も中間業者もブリーダーを兼ねている者が多く、次のようなひどいことも平気で行われている。
まず、新聞やペット雑誌に『里親探します』と広告を出す。すると、エサ代付きで犬や猫が集まってくる。大量に集まったら、そのまま研究機関に転売してしまう。なかには動物の飼育さえ、ボランティアに無償でさせている業者もいるというから驚く。現に、
「里親探しだというから猫を渡したのに、実験用に売られた」
として、ある愛猫家がブリーダーを告訴する事件も起きた。
猫狩りや悪徳ブリーダーのルートを規制したとしても、研究機関が犬猫を必要とするかぎりこの実態は変わらない。研究機関側の本音も取材してみたが、
「出所不明のぺットは使わない」
「機関同士で共同で、大規模な犬猫の飼育施設を作る」
などの対策を考えているところは取材した範囲ではどこもなかった。研究機関にとって、犬猫はあくまでも消耗品。ペットを飼う人間にとって、犬や猫は友達。この違いは、これからも乗り越えられないだろう。こうして、今日も日本のどこかから、ペットたちが忽然と姿を消していく……。
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