2012年4月13日金曜日

ドラッカー用語集 - 藤屋マネジメント研究所


【IT社会】    IT(インフォメーション・テクノロジー)が発達した社会のこと。ビジネスにおいては、「時間」「距離」「経費」を消滅あるいはかぎりなく低減するため、あらゆる分野で参入障壁が低くなる。また、流通チャネルや市場、商品までも変える。
 コミュニケーションと計算・集計業務などが超低コストのうえスピーディになるため、仕事のプロセスを根本から変えてしまう。今後もITそのものも進化するが、「T」(技術)以上に、「I」(内容)が重要になってくる

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    【5つの大罪】    マーケティング志向のない企業が犯しやすい5つの過ちのこと。(1)利益幅への過信、(2)限度いっぱいの価格設定、(3)コスト中心の価格設定、(4)チャンスの無視、(5)チャンスの軽視、がある。
 (1)は、利益は利益率と販売数量の掛け算であることを忘れている。(2)と(3)は、顧客と競争相手の存在を忘れている。(4)と(5)は、現状に満足しているか、問題に振り回されている。
 特別に差別化された商品をもっていないかぎり先はない。特別に差別化された商品をもっていたとしても、その商品の寿命と会社の寿命は、限りなく短いと考えた方がよい。

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    【イノベーション】    既存のノウハウ・商品・顧客ニーズ・市場など、すでに存在するものの中から欠落する何かを探し出して解消し、まったく新しい商品価値を生み出すこと。発見や発明が必要になることもあるが、イノベーションは発見や発明そのものではない。
 既存のものでも意味を変え、用途を変えれば、新商品と同じになる。ということは、メーカー以外でもイノベーションは可能ということ。さらに、もっと良くなる何かを見つけて付け加えれば、いっそう付加価値は高まる。そうすると、V字回復も可能になる。
 氷河期のように獲物が少なくなった現在の市場環境では、採集・狩猟型の経営から農耕・牧畜・養殖型の経営に変えないと、生き残りはむずかしい。
 イノベーション(継続的な改善と革新)を、農耕・牧畜・養殖型経営のための重要な仕事として会社の業務に織り込むこと。

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    【イノベーションの源泉;予期せざる成功】    体系的・分析的に取り組むべきチャンスのこと。と同時に、正面から真剣に取り組むべき市場からの要求でもある。チャンスの大きさにふさわしい真剣さと支援を要求する現象。
 これは、「市場と、市場に対する御社の認識にギャップが生じていますよ」という市場からのメッセージ。このような場合、変えるべきは、御社の「市場のとらえ方」のほうである。こうしたことが繰り返し起こるようであれば、間違いなく、御社の認識がずれている。固定概念を棄てて、市場に合わせること。
 なお、そのサインは、売上、利益、集客方法、売れ筋商品の変化、販売時間帯の変化などに現れる。たとえば、しぶしぶOKした部下の企画が当たる。それは、自分の認識が違っていることのサイン。
 このようなことは、成功体験の多い経営者や管理者に起こりがちである。人は老いとともに感性も鈍くなる。にもかかわらず、自分の方が正しいと部下のアイデアを認めない。老害の初期症状である。
 負える範囲内でのリスクであれば、やらせてみることだ。現在のような経営環境を経験した人はいない。逆にいえば、この経営環境下では、みなが初心者である。
 それならば、現場に近く、発想のやわらかな部下の方の完成を優先するのも悪くない。その成果も、上司であるあなたのものなのだから。

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    【イノベーションの源泉;予期せざる失敗】    市場の変化や認識の変化で現状の商品などが受け入れられなくなっているサインのこと。と同時に、別のところで新たなチャンスが発生しているサインでもある。外へ出てよく見、よく聞くこと。また、ライバルの失敗も重要なサンプルや実験としてとらえること。
自社の認識が市場からズレていく現象は、「予期せぬ成功」より「予期せぬ失敗」のほうが圧倒的に多い。たとえば、売れていたものが売れなくなる。あるいは、客数が減るなどが数カ月も続くようだと、変化の兆しである。対策が必要だ。
 こうした現象は、商品ライフサイクルが、成熟期から衰退期に向かうときに、しばしばみられる光景である。あるいは、企業自身の高齢化・老齢化にさしかかる頃から発生し出す。あるいは、硬直化した企業では、壮年期・青年期からでも見ることができる。そして、成功と失敗の割合が逆転したときに、企業の衰退が始まる。

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    【イノベーションの源泉;調和しないもの】    顧客ニーズに十分に応えきれていない供給体制のこと。以下の4つを調和させる発想がイノベーションのヒントになる。(1)あるべき姿と現実との乖離(かいり)⇒プロセスの欠如、(2)需要と供給との不調和 ⇒ 品不足、(3)思い込みと現実との不調和 ⇒ 希望的観測、(4)消費者の価値観との不調和 ⇒ モノからの発想。
 現場に行ってよく見て、現場に行ってよく聞けば、それらが発生していることがわかる。原因が分かれば、解決の手段の方向性が見えてくる。

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    【イノベーションの源泉:プロセスニーズ】    何かを達成するために必要になるプロセス(工程)上のニーズのこと。具体的に欠けている何かを見つけ、それを商品化すること。成功させるためには、顧客を自社にではなく、自社を顧客に合致させること。
 たとえば、クリーニング業界全体が落ち込むなかで、業績を伸ばしている宅配クリーニングの成功は、欠けていたプロセスである「顧客がいる時間帯の集配」である。単身者や共稼ぎ世帯の不便を解消した結果である。業者の業務プロセスは変わっていない。欠けていたのは「集配時間の配慮」だけであった。

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    【イノベーションの源泉:産業構造と市場構造の変化】    商品やサービスの供給の仕組みや、ニーズの枠組みが変わってしまう状態のこと。安定と固定は違うため、会社を安定させるには、変化に応じて自ら変化し続け必要がある。また、既存の枠組みが崩れるため新規参入のビッグチャンスでもある。たとえば、携帯電話は、通信機器メーカーから弱電メーカーが主導権を握った。
 また、自動車業界は電気自動車の時代になるとモーターを製造する電機メーカーが、より重要な地位を占めるようになるだろう。
 ネット販売のおかげで、小資本でも商品力・訴求力があれば成功できる。その成長もスピードも速い。
 さて、御社は、現在、産業構造と市場構造が劇的に変化しているが、そのメリットを、どう取り組もうとしているのだろうか? 不況とばかり嘆いている暇はない。打つべき手は無限にあるはず。
 もう一度、事業の原点に返って、(1)顧客は誰か、(2)何を望んでいるか、(3)その望み(ニーズ)を解消する方法は何か、(4)その方法を実現できる商品、その中で差別化できる商品・サービスは何か、(5)それをわが社で提供できるか、などを自問してみよう。こうした問いを発することで、現在の「商品」「市場」「流通チャネル」の間違いに気づくかもしれない。いや、業績が低迷しているのであれば、ぜったいに気付かなければならない。

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    【イノベーションの源泉:人口構造の変化】    確実に将来が見える唯一の変化のこと。これはすでに起こった未来とみなすことができる。対象市場の総人口の増減だけでなく、年齢構成・男女比・収入の変化・地域格差・職業などでとらえるもの。
 『売上=客数×客単価』である以上、人口は、市場の量的変化・質的変化の基本情報である。小さな商店でも、一度、市町村が発表している人口統計をみること。思っていたいのと違う人口構造になっていたとしたら、不況以上に、市場の変化の原因と考えられる。

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    【イノベーションの源泉:認識の変化】    とらえ方が変わること。たとえば、かつての日本では、「安全と水はタダ」だったのが、今ではビッグ市場になっている。認識の変化に基づくイノベーションは、商品化までの期間も短くコストもかからない。
 卑近な例ではあるが、出来の悪い営業担当者は、一度断られて訪問先には二度と行こうとしない。理由を尋ねると、「あそこはダメです。断られました」と言う。しかも、数年前の話だ。状況は変わっているはずなのに・・・
 このような固定概念を覆すのが、「認識の変化」である。それは、個人レベルでも、企業レベルでも同じ。固定概念からは、イノベーションは生まれてこない。
 厳しい経営環境であるが、常識・固定概念・思い込みを疑ってかかることから始めよう。私がお客様企業で実現している「V字回復」の源泉も、そこにある。

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    【イノベーションの源泉:新しい知識】    これまでなかった技術やノウハウのこと。リードタイムが長い。新しい技術が開発されても、実用化されるまで十数年から数十年かかる。また、商品化するには複数の知識が合体する必要がある。中堅までの規模では、10数年、数十年も資金が続かない。
 また、優秀な人材でなければ立ち上げることができないし、中堅・中小企業では、優秀な人材を、そうした長い期間、利益があがらない開発に縛りつけることはできない。
 このような理由から、中堅までの企業にとって、新しい知識でのイノベーションは非効率である。リスクを負ってナンバーワンになろうとする場合は除き、技術ではなく、その活用方法(商品開発)で利益をあげる方法を考えた方が確実である。戦略タイプいえば、創造的模倣(パクリ)戦略、柔道戦略がお勧め。

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    【イノベーションの源泉:素晴らしいアイデア】    法則性がないので、繰り返すことも教えることも計画することもできないもののこと。しかし、成功したときの成果や社会に対する影響も大きいので、バカにもできない。バカにはできないが、企業が計画的に取り組むには不向き。宝くじと同じレベル。
 技術型のアイデアで創業者する人の大部分が、開発資金が続かずに消えていく。しかも、彼らは能力の高い人たちだ。大企業は、資金が続くだけに表面に出ないだけだ。アイデアだけでイノベーションを起こすのはむずかしい。

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    【イノベーションのためにやるべきこと】    イノベーションも仕事なので、体系的・計画的に取り組む必要があり、そのために必要な業務のこと。手順は通常業務と変わらない。(1)チャンスや可能性を分析する、(2)テーマを決め、体系的・継続的に取り組む、(3)運用や操作は簡単なものにする、(4)事業は小規模に始める、(5)初めからトップに立つことや変革をねらう、こと。
 ただし、熟知した市場か核技術以外での多角化は厳禁。ほとんどの場合、良い仕事は分析から始まる。イノベーションも仕事だから、その手順は変わらない。計画的に取り組まなければならないことも変わらない。
それは、既存の商品や流通チャネルはやがて古くさくなり、使えなくなるからだ。しかし、目の前の仕事に忙殺され、イノベーションを体系的かつ計画的に取り組んでいる企業は少ない。
 この目先の仕事(現在の仕事)ばかりから脱却するための思考法はただ一つ、「現在」のスパン(時間の幅)を変えることだ。今日を現在としている人は1週間を現在に、1週間を現在としている人は1か月を現在に、1か月を現在としている人は半年を現在に、半年を現在としている人は1年を現在に、1年を現在としている人は3年に、現在に変更すること。販売担当者や製造担当者から社長にいたるまで、今日や今月ばかりの仕事をしていたのでは自転車操業から脱却することはできない。
 本当は、社長以下、「現在」のスパンを一致させる必要があるが、一人ひとりがスパンを長くすることからはじめてみよう。少なくとも、上の階層ほど、数年単位の長期的なスパンをもつ必要がある。

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    【イノベーションの目標】    「事業がどうなるべきか」を、具体的な行動に移せるようにするための「継続的な改善」「革新」の目標のこと。イノベーションの範囲(継続的な改善と革新)とレベルと期限を決める。
 継続的な改善は、将来も現在の延長線上にあるときにのみ有効な「より良く」「より速く」「より安く」の発想。もう1つの革新は、「より新しい」「より違った」からの発想。とくに変革期に有効。
 ゴールが決まらないとペースがわからない、走る方向がわからない。陸上競技だけでなく、仕事も同じである。また、掛け声だけでも人はやらない。ムダな仕事でも、あればやるのが人間だ。また、評価に結びつかなければ、リスクを冒してまでやる人はいない。イノベーションもまた、日常の業務にまで落とし込まなければ、成功しない。

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    【意思決定】    経験と勘だけでなく、ルールに沿って行うもの。手順は、(1)問題を定義し、(2)意思決定の目的を確認し、(3)複数の解決策を出し、(4)実行手段に落とし込み、(5)結果を評価する。
 問題の定義とは、決定要因を発見すること。最優先して変更し、行動に移して実現したい「何か」のこと。
 なお、決定しないことも一つの選択肢。上記は意思決定の基本プレーだが、まずは基本に忠実であることが大切。応用は基本が身についてから。これもスポーツの上達方法と同じ。
意思決定は問題解決と言い換えることもできる。この場合の問題には、(1)発生型:起こってしまったという問題(事故やクレーム)、(2)探索型:さがす問題(改良・改善)、(3)設定型:つくり出す問題(革新)、の3種類がある。

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    【意思決定分析】    どのような意思決定を、どの階層で行うかを明らかにするための分析。役割に応じた権限を与えること(権限移譲)が目的。その要因は、(1)決定事項の有効期間の長短:長期におよぶものは累計金額も大きくなる、(2)他部門などへの影響度:在庫は財務・営業・製造・商品などにも影響を与える、(3)価値的な要因:経営理念・方針・戦略・コンプライアンスなど、(4)一度きりか、反復するか:反復するものは、手続きのルールをつくっておく、こと。
 意思決定が過度に上司に集中すると、責任を取らない・考えない社員となり、人材が育たない。意思決定のルールを確立したうえで、負えるリスクの範囲内で経験させることが、人材育成の重要なポイントになる。

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    【エグゼクティブ】    マネジメントの定義の変更により、「自らの仕事に責任を持つ人」をさす単語として用いたもの。管理者にかぎらず、知識労働者・高度技能者全般をさす。なおエグゼクティブ(executive)とは企業の上級管理職、経営幹部、重役をさす単語だが、その人は意思決定をすることが前提となるので、階層に関わらず同等の役割を果たすために意思決定をしている人全員のことをいう。

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    【NPO】    非営利組織のこと。任意団体と法人格を持つものがある。すぐれたNPOは、利益がないため使命から入り、方針に基づく活動のみを忠実かつ集中して行う。だから方針・戦略・活動がブレない。これは企業が見習うべきことである。
 NPOは利益を目的としないが、良いNPOは、収支をきっちりと合わせている。たとえ、寄付金に頼ったとしても、寄付をしてくれる顧客満足に応えなければ、寄付は集まらない。寄付と売上げの違いこそあれ、顧客満足を提供していることに変わりない。企業も、理念・方針・戦略・目標の展開という意味で優良NPOを見習うべきである。

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    【お客様】    購買力の伴う購入決定権を持っている人や企業のこと。利益をもたらしてくれない取引先は顧客とは呼べないが、その原因は自社の努力不足の可能性もある。
 要求水準の高い顧客に受け入れてもらうと、波及効果も大きい。高いレベルの仕事が身につくと、市場や顧客開拓がしやすくなる。「狭き門より入れ。滅びに至る門は広い」と新約聖書も教えている。妥協はいつでもできる。まずは、差別化という狭き門から入り、顧客満足を獲得しよう。

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    【会議】    元来、組織運営の欠陥を補完するためのもの。しかし、会議の開催が目的化している会社も多い。なお、会議をしているときには本来の仕事はできないから、開催は最小限度にすること。
 「3人寄れば文殊の知恵」ということわざがあるが、ゼロを掛け合わせても、ゼロにしかならない。会議は、生産的な意見を持った人がいて、一方に、やる気はあるがやり方がわからない人たちがいる場合にのみ、意義あるものになる。
 あるいは、生産的な意見をもった人たちが意見を出し合うことによってさらに生産的になる。この原則がわかっていなければ、会議は時間の浪費にすぎない。時間つぶしの会議からは、何も生まれてこない。他の仕事と同じように、「目的の明確化」「事前準備」「参加者の貢献」が必要である。
 なお、効果的・効率益な会議運営のためには、(1)会議の目的を明確にする、(2)司会をしながら意見を述べないこと、(3)参加者は最初から貢献に焦点を合わせること。
 (1)は、伝達か、情報の共有化か、意見の交換か、何かの決定かを明らかにする。(2)は(1)の目的に合わせて司会者を変えればよい。意見を言いたい人は司会をしないこと。(3)は(1)の目的に合わせて、参加メンバーに何を要求しているのかを、あらかじめ知らしめておくこと。

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    【問題解決策】    最後に、「それはお客様にとって一番良いことか」と確認の自問をすべきもの。何かを決定したときは、自社都合・自分都合になっていることが多い。最後にもう一度、上記の質問をすることによって、始めからやり直さなければならない事態になるかもしれない。
 それが努力をコストだけで終わらせない商品やサービスを生み出す秘訣である。なぜならば、最終的に判断を下すのは、顧客だから。

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    【価値戦略】    顧客の価値を基準にした売り方をする戦略。たとえば、酢を「調味料」から「健康食品」に価値を変えると、原材料はほとんど変わらなくても単価が数倍から十数倍になる。
 このように、価値戦略とは、モノを売るのではなく、それを買って得られる効用を販売する戦略。製品とはある「原料から造った品物」。商品とは「売る(売れる)ための品物」。
 ちなみに、製造者・販売者からみた商品価値とは、多機能・品質・コストの高さ・技術力・手間暇をさすが、購入者からみた商品価値とは、便利さ・単純・割安感・満足感である。
 売っているのはモノ(目的)、買っているのは買って得られる効用(手段・満足)。この違いを理解しなければ、売れる商品を提供することができない。

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    【価格戦略】    販売対象と価格の意味を変える戦略。たとえば、コピー機のカウンター課金は、機械を販売するのではなく、「複写の手間を省くこと」を一枚あたり10円で販売するもの。「所有価値から使用価値への転換」あるいは「販売業からサービス業への転換」を意味する。
 私たちが日ごろ利用している電車もバスも飛行機も、ボーリングも遊園地も映画も、DVDも化学雑巾も旅行用バッグも、サービス業と言われる多くのものが、すべて、そのものを買っているのではなく、一回当たりの使用料を払っている。現在、売り渡しのもので、そのようなものはないか?

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"心"と脳"の違いは何ですか?
    【関係分析】    部門内・部署間で相互に行う貢献を明らかにする分析。組織は協働の体系なので、「他部署への貢献」をするとともに、「他部署への貢献」を求めなければならない。それがチームワークであり組織。
 多くの人が、自部署のみの仕事で完結している。何のための仕事かは理解していない。仕事と書いたが、そういったものは「動作」にすぎない。企業において、自部署の仕事というのはありえない。あるのは、「企業の仕事」である。
 すべてが、企業の仕事であり、企業の生産性向上であり、企業の利益、企業の損失である。
一度、関係(貢献)分析を行ってみることだ。そうすれば、他部署との関係が変わるし、仕事の内容が変わり、生産性が向上する。

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    【管理者の仕事】    短期の成果(売上増・当期利益・コスト率削減・業務改善など)と、長期の成果(人材育成・商品開発・市場開拓など)を同時に上げること。仕事の時間軸を変えること。
 「現在の仕事」を、目の前(1週間から3ヶ月)の仕事にせず、2~5年単位でとらえ、その期間内での成果とは何かを考えれば、短期と長期の成果がつながり、バランスのとれた管理者になる。ただし、「考えることが仕事の中心」にならざるをえない。

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    【完璧な仕事】    パルテノン神殿の屋根の彫刻のように、「見えない背中まで彫刻したものに支払えない」という会計官に、「いや、神々がみている」と反論するような仕事のこと。多くの人は、神々には見てほしくないような仕事をしている。
 私も毎月が10月(神無月)であってほしいと思っている一人。こなす仕事・流すような仕事ぶりに成長の可能性はない。仕事は、常に完璧を目指すべきだ。しかし、ビジネスは芸術ではない。コストと時間に制約がある。かつ、完璧とは、「誰にとっての完璧か」という問題もある。
 職人気質がなければ優れた仕事はできないが、ビジネス気質がなければ事業として成り立たない。仕事は、この2つをバランスさせなければ完璧な仕事とは言えない。
 また、「今までで一番よかった仕事は?」と尋ねられたら、「次の仕事」(ネクスト)と答えられるようにしたい。ドラッカーもチャップリンもそう答えていたように。

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    【管理者の六つのルール】    人の上に立つものが守らなければならない決まりごと。(1)常に優先順位を考え、時給に見合った仕事をしているかを、定期的に自問自答する、(2)一度に二つの仕事はしない、(3)常識は変わるもの。当然のことなどないと思え、(4)部下のやる気が失せるから、細かいことに手出ししない。また、本来の仕事をしているとそのような暇もない、(5)部下に友人を入れてはいけない、(6)キャンペーン仕事をやめる。組織力を高めるのはキャンペーンではなく基本プレーの徹底である。
 決裁権限が多くなるほど、つまり昇進するほど自制が求められる。裁量権が増すということは勝手な振る舞いが許されるということではなく、責任が重くなるということである。このような前提を踏まえたうえで、継続的に業績を上げようと思えば、「特効薬などない」ことを認識すること。
 短期と長期の成果を上げようと思うならば、(1)ビジョンと目標を示し、(2)それに必要な基本業務と基礎知識を明らかにし、(3)ヒト・モノ・カネ・時間を配分し、(4)徹底的にやり抜く、だけだ。

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    【基幹活動分析】    売上げと利益を上げるための主な活動の分析。「組織構造は戦略に従う」のが原則。自社の優位性を打ち出すために、どのような業務が必要になるかを、体系的に知るための分析。
 主な活動にはどのようなものがあるかは、市場のセグメンテーション(細分化)とポジショニング(市場での地位)、対象市場・対象顧客・対象商品・流通チャネルから考え、それにふさわしい職能(仕事)を抽出し、組織立てていくこと。固定概念で製造・購入・経理・営業・・・と考えないこと。この発想では、戦略を実現するために「どのような仕事が必要か」が見えてこない。

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    【企業】    市場に対する有料での貢献が目的の組織のこと。内部で発生するものはコスト(努力)だけ。そのノウハウが価値として認められたときだけ売上が発生し、貢献度合いによって利益が決まる。多くの企業で、努力にだけ目を向けて、何のための努力か、誰のための努力か、を忘れている人が多い。
 つねに会社としての最終目的を視野に入れた仕事をしないと、仕事そのものが顧客や会社への貢献ではなく、弊害になってくる。

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    【企業の成長】    量的には影響力を確保するために市場の成長率以上の成長を必要とする。質的にはコスト(原材料や人件費、運送費など)上昇率以上の成長率を必要とする。いずれにしても、現状維持は、顧客満足や競合相手の視点から、相対的な魅力の減少・弱体化を意味する。
 以上の理由から、量的・質的に成長する意欲がなくなったときは、ゆでガエル状態に陥る前に売却するか、廃業するほうが賢明である。

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    【企業の形が変わる】    ニーズの高度化と変化のスピード化が進み、自社だけでの対応力に限界が生じるため、系列や業種を超えた提携・合併・合弁が必要になる。「平均的」「そこそこ」は通用しない。他社から連携の声がかかる何らかの魅力(強み)をもつこと。
 社外的には、ますます提携(WIN-WINの関係)を意識した、組織的活動が必要になる。そのため、複数の企業で構成するネットワークに参加できる「秀でた何か」が重要になる。社内的には、経営者や上司が経験したことのない現場の仕事・部下の仕事が増える。だから、努力の方向を揃えるための価値観・方針・戦略がますます重要になってくる。

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    【基礎的な資質】    知力や創造力や知識のこと。しかし、これらは、成果の限界を設定するだけ。成果を上げるには、これらの資質を成果に結ぶつけるための能力(知恵・ノウハウ)が必要になる。
 雑学と知恵の違いは、知っていることを仕事に活用できるか否かである。たとえば、雑学もクイズ王として、活用できれば立派な能力に代わる。勉強好きなサラリーマンも多いが、勉強のための勉強では雑学と変わらない。
 情報や知識は、練習により使えるようになってはじめて意味がでてくる。学んだら使ってみること。使いこなせるまでになること。知恵は数ではない。質である。

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    【奇跡】    再び行うことも、教えることも、学ぶこともできないため、あてにできない成功のこと。企業は、天才を求めることも、偶然に頼ることも、奇跡を願うこともしてはいけない。もっとも成功する確率が高いと信じることに集中し、やるべきことを、しっかり計画的・継続的にやること。
 そして、結果が出てから、「運が良かった」「やり方がまずかった」「やり方が足りなかった」「タイミングが悪かった」と評価すること。ただし、「運が悪かったから失敗した」とは絶対に考えないこと。

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    【既存企業でイノベーションを起こす4原則】    (1)方針を明らかにし、既存の事業と分ける、(2)目標を設定し仕事として取り組む、(3)評価基準を別に設ける、(4)小規模に始める、ことをさす。
 家庭でも、乳児と幼児・児童・生徒を扱いが違うように、乳児は幼児にできて当たり前のことができない。同じように既存事業と新規事業は違うように扱うことができない。そうした意味でも、「三つ子の魂100まで」という諺もあるように、躾も教育も必要になる。
 期待は大きいが、実際にどう育つかわからない。という視点で(1)~(4)を見ると、理解しやすい。

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    【機能別組織】    製造・営業・経理など、業務内容ごとに分けた縦割りの組織のこと。専門家を育成しやすい反面、部門間の連携がむずかしくなる。また、全体が見えないため経営者育成には向かない。
 中小企業あるいは規模に関係なく商品群が一つのときは、機能別組織の方が効率的である。上記に該当する企業でも事業部制をとりたがる経営者もいるが、多くの場合、任せるだけの人材がいない。そのため苦戦を強いられている。事業は人が運営するのであって、商品が自分自身で運営するわけではないからである。
 だから、トップの人材がいない事業部では、せっかくの魅力的な商品が王子様に出会う前の白雪姫のように、眠ったままになっている。

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    【教育】    知らないことを教え、できないことをできるように、競争力を持ちうる唯一の経営資源である人材を磨きあげること。
 部署によっては、投下資金の回収には長期間を要する。結果が目に見えにくいうえに、もっとも高価につく投資。しかし、その見返りは大きい。
 体系的な実施が必要なため、帳面消しの仕事では浪費に終わるもの。企業で最も投資の対象にしなければならないものが人材。資金がなければ教育・訓練に時間を投資しよう。練習せずに試合ばかりしていても、強いチームにはなれない。毎日の練習が、チーム力をアップさせる。現場力は研修だけではない実現できない。教育・訓練が必要だ。

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    【競争相手】    勝てば自社を成長させ、引き分けでは切磋琢磨あるいは消耗戦を強(し)い、負ければ自社を衰退に追い込む存在のこと。
 競争のない世界に持ち込むことは必要だが、その状態が長く続くと誤解しないこと。多くの場合、魅力があればある程、「パクリ」や「創造的模倣」で、競争相手が現れる。必ず現れる。だから、質的成長は、欠かせない。目標を達成したときは、次の準備に入るときなのである。

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    【業績評価】    (1)市場での地位、(2)イノベーションの成績、(3)生産性、(4)流動性とキャッシュフロー、(5)収益性、の5つの指標で測定すべきもの。

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    【グローバリゼーション】   経済的に世界が連動する一つの市場になること。通用するのは、次の展開である。(1)広く考え、広い地域で事業展開する、(2)広く考え、その影響を考えて狭い地域・領域で事業展開する。

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    【景気変動への対応】    (1)景気は常に変動するものだとして目標数値に幅を持たせる、(2)人口構造の変化などのすでに起こった未来(底流)を探す、(3)傾向(トレンド)を調べ、以上の三つを併用することで山勘ではなく、分析に基づく対応力が格段に増すような活動のこと。
 (1)は、良い時ばかりは続かない。反対に、悪い時ばかりも続かない、(2)は、必ず起こるけれど、いつ頃起こるかわからない、(3)は、いつ頃起こるかわかるが、どれくらい起こるかわからない。これらを併用すると、環境はある程度予測できる。
 なお、データだけに頼らず、五感でも感じること。ただし、人口構造だけは底流もトレンドもわかる唯一の例外。

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    【経営環境】    適応力のある企業には、利益を生み出すビジネス・チャンスが無限に転がっているところ。反対に、適応力のない企業には、せっかくの成功体験が無価値になるような変化が起こるところ。
 社会や顧客の「困った」の解消が事業(ビジネス)だから、現在はビッグチャンスのはずである。そう考えると、これだけ皆が困っているのだから、チャンスは無限にある。では、どうとらえ、どう対応する? もちろん、これまでのやり方は通用しない。

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    【経営環境;機会】    誰にでもビジネス・チャンスとすぐにわかるもの。したがって、参入者が多いので、すぐに過当競争に陥る。
 誰にもチャンスとわかるものに、そのまま飛びつくのは「強者の戦略」であって、弱者にとっては「破滅への序奏」なのかもしれない。もし、中堅・中小企業がチャンスをものにしようと考えるのであれば、市場を絞り込み(セグメンテーション)、さらに「差別化のための一工夫」を加えること。

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    【経営環境;脅威】    ビジネス・チャンスに転換できれば、高収益をもたらすもの。そうできなければ、巻き込まれないように回避するか、該当事業から撤退を余儀なくされるもの。
 そもそも顧客の「困った」を解消する手段を提供するのが企業である。一般的な脅威と言われるものは、すべてチャンスととらえなければならない。そのために必要なことは、分析である。
 まず、顧客をよく観、顧客からよく聴くこと。また、環境の分析だけではなく、社内に保有するあらゆるノウハウ、提携や連携を視野に入れて他社を観察し、分析することである。

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    【経営管理者】    一般的に役職をさす「管理者」に対して、ドラッカーは役職と役割が一致した「経営する管理者管理者」(ドラッカーが目指す本来の仕事をする管理者)を区別するため造語。原語は「マネジング・マネジャー」(managing managers:経営する管理者)である。
 なお、本来の業務とは、戦略思考を持ち、全社の現在と将来の目標達成に責任を持って貢献するために「マーケティング」「イノベーション」の機能充実、「生産性の向上」に果敢に挑戦すること。企業の現実をみると、経営管理者の育成が必要かつ急務であることがわかる。

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    【経営管理者の管理】    指示・命令ではなく、目標による管理(複数の目標と自己規制)によって行なわれるべきもの。

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    【経営者の仕事】    次の2つの業務のこと。(1)企業の価値をつくり、方針を定め、企業全体の目標を定める、(2)それらを実現するための「事業」「組織」「人と仕事」に関わる仕組みをつくる。
 今の不況が回復したとしても、かつてのビジネスモデルは通用しそうにない。だから、これまでとは視点を変え、仕組みを変え、活動を変えないと、企業の存続はありえない。

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    【経営戦略】    誰に・何を・どのように・販売するかを決めること。差別化・独自化の方向性・方針を決めるもの。また、商品開発・市場開拓・設備投資・人材育成の基準になる。さらに、経営資源(ヒト・モノ・カネ・時間)の分配の基準でもある。
 複数の人が協働する場合には、必ず判断基準が必要になる。精神的な基準が経営理念ならば、事業にかかわるすべての実務の基準になるものが経営戦略である。多くの中小企業で、その基準がないのが成長できない理由である。

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    【経営方針】    市場の細分化(セグメンテーション)と市場での位置づけ(ポジショニング)で表される経営戦略の前提になる意思決定のこと。ドラッカーの場合、一般的な用い方とはかなり異なる。

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    【研究開発】    目的とする成果と実現可能な成果について、確度の高い予測を持ちつつ行われる、計画され、組織化された意識的かつ体系的な活動のこと。したがって、好きで行う理科の実験などとは異なる。しかし、実際には、趣味の延長で行っているような研究開発部門も多い。
 利益目標がない研究開発部門などにこそ、戦略とのリンクした目標による管理が必要不可欠となる。営業部門や製造部門では、あたり前のように売上、利益、コスト、生産性などが仕事の前提にあるが、管理部門や研究開発部門は、意識しないとそれらのことは頭から外れてしまう。
 その結果、部分最適となり、仕事のための仕事(趣味?)になってしまう。

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    【コスト】    利益を上げるため意図的に発生させる出費のこと。かならず売上や効率とセットで存在するもので、利益に結びつかないものは単なる浪費。
 横並び意識、習慣でやっている業務、売上を上げるだけの取引、待ち時間の多い業務フロー、仕事ぶりと給与が一致しない幹部社員などが、浪費コストの代表例である。
 生産的な業務に関するコストは、「コスト管理」よりは「成果管理」を行うこと。そうすると「コスト額」ではなく「コスト率」の発想が出てくる。
また、監視コストなどは、監視しなかった場合に発生するコストとの比較で判断すること。

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    【コスト管理の5原則】    (1)大きなコストに集中する、(2)種類に分けて管理する、(3)企業全体で考える、(4)流通全体で考える、(5)不要不急の活動をやめる、の5つの視点のこと。
 コスト管理で必要なことは、「顧客の支払う金額」から考えていくことだ。自部門や自社でのコストから考えるだけでは足りない。商品購入の決定権をもつ顧客が支払うコスト(価格)を、顧客が受け入れてくれるかどうかである。それでコストの絶対額も決まってくる。

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    【コストの4分類】    コストを活動面から区分したもの。コストは財務用語だから、多くの場合、決算書(とくに損益計算書)の視点で分類している。しかし、コストは、活動に比例して発生するものだ。だから、活動の視点でとらえる必要がある。
 (1)売上げや利益を生み出す生産的コスト、(2)会社を運営する上で不可欠な経理などの補助的コスト、(3)悪いことが起こらないようにする調査などの監視的コスト、(4)お客様にも自社にも貢献しない浪費コスト。
 その活動をいくらかけてやった結果、どのような成果を生んだか、生みそうかを考えること。多くの場合、コスト・パフォーマンスが合わないことがわかる。経営革新のチャンスである。

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    【コンピュータ】    今や小遣いで買える計算機・筆記用具・通信機器・その他の情報処理の複合機器のこと。「限りなく忍耐強い。使い手のスピードやリズムに完全に合わせてくれる。操作が遅い利用者に対しても決してバカなどとは言わない」、とドラッカーは表現している。
 コンピュータは愚鈍だが、忠実な道具である。指示したことは間違いなくスピーディにこなす。しかも愚痴を言うこともさぼることもない。
 人間がコンピュータの仕事ぶりに優ろうと思えば、推測、統合、柔軟、いたわり、励ましなど人間特有の能力を発揮するしかない。ただし、万能ではないことを、常に意識しなければならない。
 決して万能ではない道具としてのコンピュータを使うのは人間であって、その逆であってはならない。

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    【上司と部下のコミュニケーション】    共通言語と共通理解の上に成り立つ意思の疎通のこと。部下は自分が聞きたいと期待していることだけを聞き取る。何度言っても聞かないのはそのため。だから、日頃から期待を持たせるように情報の共有化が必要。
 コミュニケーションは受けて次第で成立するかどうかが決まる。だから、相手のわかる言葉で、関心を引くように、要求すべき内容を明らかにして、発信しなければ効果がない。そのためには、目的・目標・進捗(しんちょく)状況などの情報の共有化が前提となる。

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"体重を得るために何を食べる"
    【高度の競争社会へ】    IT化によりコミュニケーションコスト(距離・時間・金銭)が激減あるいは消滅する社会のこと。終身雇用も崩れ、転職・起業への抵抗感が希薄になりつつある。さらに、経済の成熟化から産業間の境目もあいまいになっている。このような理由で、あらゆる産業への参入障壁が低くなり競争が激化する社会。
 仕事の道具として大きな役割を担っているコンピュータだが、クラウドコンピューティングの世界では、自社内にコンピュータが不要になるため、パソコンさえあれば、ソフト導入が不要になり、あるいは、保守サービスコストも激減(不要?)するという。 また、TV会議など通信の発達で移動せずに仕事ができるようになる。
 そうなると、ますます参入障壁が低くなり、競争が激化するため、「総合○○」が通用しなくなる。あるいは、一極集中が進む。したがって、強みの事業の選択と、それへの経営資源の集中にすることが必要不可欠になる。

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    【雇用の変容】    雇用形態(雇い方)と就労形態(働かせ方)が多様化すること。ただし、会社を良くしたいならば、年齢や性別に関係なく優秀な人材が働ける環境をつくることが大切だ。だから、優秀な人材を惹きつけて離さないためのマーケティングが必要になる。
 ただし、お金だけ、地位だけで惹きつけると、よりよいお金と地位の誘惑があれば去っていく。また、周りの人との摩擦も生じる。仕事そのもの、会社そのものの、働きやすさの魅力で惹きつけること。

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    【顧客の創造】    事業の目的となるもの。自社の望む価格で買ってくれる顧客を増やすこと。売上を増やすこと。顧客の創造には何らかのセールスポイント(顧客にとっての魅力)が必要になる。企業は、買って下さる顧客がいなければ、スタートさえできない。かりにスタートはできても仕事がない。
 企業は、顧客満足を提供するための仕組みである。これを忘れている企業があまりにも多い。とくにニーズが変化するときに忘れがちになる。

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    【顧客の問題解決手段の提供】    顧客の商品やサービス購入の目的のこと。顧客は商品を買って得られるメリットを購入している。企業が提供するのは顧客の問題解決の手段である。だから「商品=モノ」ではなく「商品=効用(満足やメリット)」である。
 商品の意味を再定義すること。サービスの方のウエートが大きい場合もあるし、納期や品質、対応力が購入の決め手になる場合もある。
 企業にブランド力があれば、企業自体が商品になり得る。しかし、トヨタの品質問題のように、数十年かけて築いてきた信用(ブランド)を瞬時に失うこともある。

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    【サービス労働者】    キーパンチャーは事務など、数字や記号・公式など体系的に学習しなければならない知識を使って仕事をしている人たちのこと。

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    【作業】    言われたことを、言われたとおりにする動作のこと。創意工夫がみられない動き。時間当たり「いくら」で計れる作業。
 仕事とは、作業に知識(ノウハウや技能)を適用すること。考えることや創意工夫することが、ますます仕事には必要になっていく。

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    【差別化】    他社にもできることが、他社よりも上手にできること。市場を細分化(セグメンテーション)することで対象分野を決定し、その市場での地位を定めることが必要となる。
 また、オペレーション的には「徹底」で実現することが可能。
 ボクシングや柔道などの格闘技には、体重別にチャンピョンがいる。何を差別化し、どの分野のどのクラスでチャンピョンになるかを熟考すること。その際、何が得意かよりも、他社と比べて何が秀でているかを基準に考えること。顧客は、御社の得意なものではなく、他社より秀でたものにお金を払う。

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    【時間】    もっとも希少な資源のこと。しかも、蓄積ができないため、有効利用以外に生産性を向上することはできない。だから、「時間の分析」は優先順位を決めるうえでも、きわめて容易かつ体系的な方法となる。
 生産性を左右するもっとも大きな要素の一つが「時間」である。人は、どのように優秀な人でも、同時に二つのことをすることができない。何をするか選択し、それにヒト・モノ・カネを集中したときに、差別化を実現することができる。企業は個人の集まりだから、その原則が適用できる。

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    【時間の浪費】    昔からやっているという理由だけでやっている仕事や、上司やスタッフの言い訳のためにつくらされる資料作成、待ち時間、単純ミスでやり直す仕事などに費やす時間のこと。「一応やりました」という言葉に表わされている。
 仕事の目的を考えると、やっている仕事そのものが無意味になることが多い。今の仕事は過去の意思決定に基づいてやっているもの。その意思決定をしたときとは、経営環境も仕事環境も様変わりしているはず。だから、定期的に仕事の意味を確認する必要がある。

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    【時間管理の4原則】    (1)時間を記録する、(2)時間をひとまとめにする、(3)浪費の原因を整理する、(4)非生産的なものを捨てる、をさす。
 時間を創り出すことはできないが、部下の育成や外注で、自分しかできない生産性の高い仕事をすることができるようになる。時間をチャンスと見、経営資源と見ることで、扱い方、過ごし方も変わってくる。人は、一度に一つのことしかできない。時間を何に使うかで人生も業績も決まってくる。

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    【資金の目標】    (1)資金の量(必要な金額)、(2)調達方法(借入・増資・社債・買掛・リースなど)、(3)タイミング(調達と返済期間・時期)を決定すること。
 資金については、需要の見通しが大切である。設備資金しろ、運転資金にしろ、計画がしっかりしてこそ、ある程度の見通しが立つ。
 また、絶対額も必要であるが、増減の傾向を知ることも大切である。また、短期的には、利益よりもキャッシュフロー(資金繰り)の方が重要である。

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    【事業】    マーケティング(顧客志向)とイノベーション(改善・改革)によって、お客様を創造する活動のこと。他社より秀でた何か(セールスポイント)を含んでいないと売上が上がらないか、上がっても利益が上がらないもの。
 事業とは、顧客が進んで支払ってくれる商品やサービスを提供すること。その顧客にとって、競争商品やサービスより魅力がなければ成立しない。このことを忘れがちな人が多い。そのため、自分にとって魅力的なものを売ろうとする。それで売れるわけがない。金を支払うのは顧客であり、購入の決定権を持っているのは顧客の方だから。

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    【事業の目的】    「わが社は何屋さんか」(お客様の何に効く商品やサービスを提供するのか)を明らかにしてお客様を創ること。定期的に見直さなければならないもの。
 環境変化に適応するために「イノベーション」(事業目的の再定義)が必要になるもの。「不易流行」という言葉がある。本質は変わらないが、表現は変わっていくという意味。それは、「幸せを望む心は変わらない」が、「何を幸せと感じるか」は、時代や状況によって変わっていくということ。
 幸せと感じるための手段を、商品やサービスとして提供するのがビジネスだから、提供する範囲を決める「事業の定義」も変わっていかなければならない。

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    【事業の分析】    「市場」「商品」「流通ルート」の最適化を図るための分析。そのための質問には、(1)顧客は誰か、(2)顧客は何を欲しているか、(3)どこにいるか、(4)どのようにしてたどり着くか、などがある。上記の(1)は対象顧客、(2)は対象顧客のニーズ、(3)は対象市場、(4)は流通チャネルと考えればよい。
 なお、同業種の集まりが業界や産業、ニーズの集合(群)が市場である。つまり、企業側から見た集まりが業界や産業で、顧客目線を基準にしたのが市場である。

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    【事業評価の5つの指標】    (1)事業における地位、(2)イノベーションの成績、(3)生産性、(4)流動性とキャッシュフロー、(5)収益性。まずは各指標の目標設定をしてみる、こと。
 上記を測定することで、(1)では成長性、(2)では将来性、(3)では効率性、(4)では健全性や安全性、(5)では事業の有効性を知ることができる。
 この5つの評価指標を用いれば、単独の指標ではわかりにくい現在と将来のバランス、目標間のバランス状況が把握できる。

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    【事情戦略】    顧客の社内事情や立場の「困った」に焦点をあてる戦略のこと。たとえば、クレジット、単身世帯へのクリーニング集配事業、違法自転車対策の駐輪機など。
 企業は、社会問題や不便・不足など「困った」に対して、自らの強みを活かした事業化で貢献する存在である。この視点で探せば、ビジネスネタはいたるところにある。それらの「困った」の解消に積極的に取り組もうとすれば、不況、不況と騒いでいる暇などない。

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    【事業部制】    ひとくくりにできる商品群や地域ごとに事業単位を設定する組織構造のこと。事業部ごとに独立しているため、利益単位の仕組みをつくれる反面、事業部ごとに間接部門があるため、非効率な部分が出てくる。それを補うのが、間接部門を本社で統合する疑似事業部制。
 組織構造は、戦略によって決まる。小さな会社が、実質的には「課」や「係」に過ぎないものを権限も与えずに「事業部制」として運営しているケースがあるが、害はあっても、あまり効果はないと思われる。

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    【仕組み】    何かをするために内容・順番・レベルなどがルール化されたもの。

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    【市場開拓戦略】    現在の商品を新しい市場で販売する戦略のこと。新市場には新しい「地域」だけでなく、若者中心の衣料屋が中高年向けの衣料を発売するように、「異年齢」への進出、ダスキンがミスタードーナッツを展開しているように、「異業種」への進出もある。
 既存の顧客や市場は、それぞれにライフサイクルがあるから、自然減が避けられない。そのライフサイクルを視野に入れて、常に新市場の開拓の可能性を探ることだ。

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    【市場浸透戦略】    現在の市場で現在の商品を売る戦略のこと。点から線・線から面など、同一市場で同一商品を普及させていくもの。浸透戦略の究極はドミナント(地域での独占)である。
 中小企業は、移動距離を伸ばさないためにも、この市場浸透が望ましい。移動距離が延びると、忙しい割に成果は出ない。にもかかわらず、働いているような気になってしまう。移動時間自体には何の価値もない。
 ちなみに私は、市場浸透とは関係ないが、毎日の移動時間をなくすために、自宅マンションの隣のマンションに事務所を借りている。通勤に意義を見出せないからである。

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    【仕事】    習慣や指示されたとおりにするのではなく、考えることや知恵を適用した成果に結びつく動きや活動のこと。
 管理職を例にとると、上から言われたことを不十分に下に伝えるのが作業、しっかり翻訳して、部下の動きに翻訳してやるのが仕事。予算づくりにおいても、前年比○○%で組むのが作業、自社の戦略目標への貢献や、市場動向を勘案して組むのが仕事。

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    【仕事からの刺激】    自らの成長を期しつつ、自らの挑戦と変化を生み出すこと。やりがいや達成感につながる。刺激は自分で感じるもの、創り出していくもの。
 人から刺激を与えてもらおうと考えるような受け身の姿勢では、良い仕事はできない。会社の目的と目標に沿った自らの目的と目標を立てて、仕事に取り組むこと。

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    【仕事の喜び】    成果や貢献の中から見つけるもの。休日や17:00を楽しみにするものではない。やりがいや達成感は、責任のある仕事からしか得られない。
 従業員には、給料だけでなく、精神的な満足も必要である。成果を上げているNPOで活動する人たちの報酬(見返り)は、そこで働く仲間との人間関係もあるだろうが、社会に貢献しているという「精神的な満足」だけである。

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    【自らの成長をうながす質問】    「何によって記憶されたいか?」と自問するもの。その答えがビジョン(あるべき姿)となり、目標となって努力の方向性と質と量を決める。
 ドラッカーは、「ビジョン」と「目標」を持って仕事に取り組めと述べている。この2つがあれば、仕事が「苦役」から「喜び・楽しみ」に変わる。なぜなら、自分自身の成長に飽きることも、面倒くさくなることもないから。

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    【社会的責任の目標】    企業市民(コーポレートシティズン)として、やるべきことをやり、やるべきでないことはやらないための目標のこと。企業の社会的責任は、事業を通して社会問題を解決するもの。
 法令順守(コンプライアンス)や倫理・道徳に従うのは、社会的責任以前の問題である。たとえば、ダイエーは「価格破壊」で、松下電器(現パナソニック)は「家電の普及」で、トヨタは「エコカー(プリウス)の先陣を切ったこと」で社会貢献した。一般的に考えられている雇用や納税・メセナ・その他は、二義的な社会的貢献にすぎない。

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    【小規模市場戦略】    小さな池の大きな魚になる戦略のこと。市場が小さいために大企業が入ってこない。中堅・中小企業には最適。市場や商品の意味を変え、競争の観点(特徴)を変えると、市場は細分化が可能になり、いくらでも専門特化できる。
 私の事例だが、経営コンサルタントは山ほどいるが、ドラッカー・コンサルタントを表に出している人は少ない。ドラッカー・コンサルタントを名乗っても、実績のある人は、ほとんど皆無である。実績を積んでくると、自分の名前で売りたくなるからだ。そこにニッチ(すき間・小さな差別化できる市場)が生じる。皆さんにもこのような領域がないだろうか?

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    【社内】    努力というコストしかないところ。だから工場利益(製造利益)などは存在しない。利益はお客様に購入してもらって、はじめて発生する。一般的に言われているプロフィットセンターは、社内ではなく社外(市場)にある。
 経営資源(ヒト・モノ・カネ)もほとんどが外部から調達している。ノウハウさえも、オリジナルなものはごく一部にすぎない。ということは、販売のみならず、管理面でも外部に目を向けなければ、最適な仕組みはつくれないということだ。だったら、今日以降、どこをみて情報の収集と働き掛けをすべきか?

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    【企業家的柔道戦略】    他社の力を利用して、商品開発や市場開拓をする戦略のこと。ベル研究所のトランジスターを利用して、トランジスターラジオで世界に躍進したソニーが好例。弱者が用いるべき戦略。リスクがなく成功の確率が高い。
 ある分野でヒット商品が出るとすぐに類似商品があふれるのも同じ発想。巷には、特許を持つだけの技術が山ほど眠っている。足りないのは市場志向であり、目的意識であり、探す努力である。プロ野球楽天球団の野村元監督のように、再生工場になろう。そうすれば、市場が満足し、特許を持つ企業が満足し、業績が伸びる御社が満足する。

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    【商品】    顧客の問題解決の手段として購入するもののこと。「企業の持つ問題解決ノウハウ」と「顧客の持つ購買力」の交換の仲立ちになるもの。その価値を評価するのはお客様である。ちなみに、商品とは売れるモノ、製品とは造ったモノ。
 企業が売っているモノと、顧客が買っているモノは違う。企業は「顧客満足」は売れない。満足の手段を売っているだけだ。これが、マーケティングのスタートである。商品とは、マーケティング(企業活動)のスタートではなく、顧客に対する最終的な提案形である。

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    【商品開発戦略】    現在の市場に新しい商品を投入する戦略のこと。優れたメーカーでは日常的に行われている。既存の商品は、マネされ、飽きられ、陳腐化するからである。
 寿命があるのは、動植物だけではなく、商品も同じだ。それなのに、売れ行き商品が永遠に売れ筋であると思いたいのは、それが、単に自分たちの関心ごとであり、希望であるからだ。その証拠に、他社の商品が未来永劫に売れ続けるなどとは決して思わない。だから、主力商品が売れているときに、次の準備をすること。

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    【上司のマネジメント】    より良い仕事をしようと思えば、自分に直接影響力があり、かつ、権限も大きい上司を使いこなすのが最良の方法のこと。そのためには、(1)上司の仕事を理解する、(2)上司の強み・弱みを知る、(3)上司の癖を知る、(4)決してバカにしないことが大切。
 上司のマネジメントを意識する人は少ない。「上司には、自分の方が従うもの」と決め込んでいる。しかし、仕事ができる人ほど、上司をうまく使っている。社長以外は、「上司をうまく使うこと」が、仕事ができる必須条件である。
 ちなみに、経営者は社外の人、とくにお客様を上司にしよう。

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    【情報が中心の世界】    情報ですべてを認識し、分析・思考する世界のこと。たとえば、20世紀にはエネルギー(原子やカロリーなど)でとらえていた生物を、21世紀では遺伝子の視点(情報)でとらえようとする。同じように、これからの会社も「情報の流れの体系」としてとらえる必要がある。
 情報の流れで会社をとらえるようになると、管理職の役割が明確になる。そのため、現在の管理職のほとんどが、機能していないだけでなく、障害になっていることが浮かび上がってくる。
 単なる中継器では、管理階層を経るごとに、情報の質が落ちる。
 トップの意向が十分に伝わらないし、下からの情報が偏向したり、ショートしたりする。このような状態で、会社がうまく機能するのだろうか? では、どうする?

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    【職人気質】    自分の技能を信じて誇りとし、納得できるまで念入りに仕事をする実直な性質のこと。コストや依頼者の意向などより自分の価値観を優先し、仕上がりの良さなど物理的な品質を最優先する傾向がある。

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なぜ大麻は違法ですか?
    【人口構造の変化】    すでに起こった未来を知ることができる唯一の環境要因。たとえば、少子・高齢化は「量の市場」から「質の市場」への転換が起こる。また、総人口の増減だけではなく、年齢構成・所得の動き・男女比・地域間の移動などにも注目すること。
 人口構造の変化は、確実に起こるが、企業経営においては、中・長期的な環境要因になるため、対処すべき要因としては、どうしても優先順位の低いものになってしまう。しかし、所得の動きなどは、景気変動に左右されるため、短期間に企業経営に影響を与える要因である。
 自転車操業から抜け出すためにも、目を離してはいけない環境要因である。

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    【人材(1)】    歴史上、どの分野でも、もっとも多かったのは無能な人間。だから「優秀な人材さえいれば」の言い訳は通用しない。また、人材はリーダーが育てるもの。リーダーに集まるもの。だから、人材不足をなげくのは、自分の無能さを公言するようなもの。くれぐれも控えるように。
 十分、自立・自律できるのに、教育されていない人が半分。どんなに教育しても自立・自律できない人が半分はいる。この現実を無視して「目標による管理」や「指揮命令」を一辺倒に行っても、最高のパフォーマンスは得られない。まずは、個々人の能力を見極めるために、試行錯誤してみること。いずれにしろ、自分があきらめた時が限界である。

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    【人材(2)】    ある分野で秀でた人は、他の分野では並みか、並み以下の能力しかもたない。だから欠点のない者を選ぼうとすれば、凡庸なものを選ばざるを得ない。それでは、会社が存続できない。
 ロックの大御所、矢沢永吉さんも「何か一つできればいい」と言っている。何でもいいから、他社(他人)より秀でた何か一つできることが大切なのだ。そのような人が活躍できる環境を整えることが、経営者・管理者の仕事である。
 あら探しからは、人材は育たないし、人材も寄って来ない。仮に集まっても、よい仕事はできない。

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    【新任者の失敗原因】    新しい地位の要求するものではなく、今までうまくやった仕事を、継続しようとするから努力の方向を間違える。当然成果も上がらない。
 ほとんどの企業で、新しい地位に就いた人たちに、その役職で求められることを教えていない。よくて、職務分掌がある程度だ。ただし、その職務分掌は、責任と権限を網羅的に書いているだけで、実務には程遠い。
 大手企業では、新任監督者・管理職研修を行っているが、一般論的な内容を教えているだけだ。もっとも高価で貴重な経営資源を、このようにいい加減に扱っている。少なくとも資金や機械設備と同じ程度に扱えば、その部署の生産性は飛躍的にあがる。

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    【人的資源の目標】    方針や戦略から導き出される「人員」と「必要とする能力」の決定と開発の目標のこと。会社のあるべき姿を実現するために必要な人材像から入ればわかりやすい。御社では、「優秀な人材の定義」をしているだろうか?
 すべてに秀でている人はほとんどいない。まして、中小企業に、そのような人が入手してくることはない。何か一つ秀でている人が入手することさえまれである。だったら、(1)どのような仕事ができる人、得意な人が必要なのか、(2)どのような欠点・欠陥は目をつぶれるか(3)その欠陥は、誰がどのようにしてカバーするかを明らかにすれば、生産的な会社にすることができる。
 また、(1)普通の人が、良い仕事・必要な仕事をするために、どのような能力をもった人が、何人必要になるか、(2)そのために、どのような育成カリキュラム・スケジュールを組むか、を考えなければならない。
 目標達成は実行を伴わなければならない。企業の成長を望むのであれば、唯一の経営資源である人材にも、上記のような目標が必要である。社長が一人で、バタついている企業では、現状維持さえ望めない。

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    【衰退市場】    社会的なニーズが減少し規模が縮小している市場のこと。たとえば、呉服・バイクなど。しかし、斬新な視点で臨めば残存者利益を享受できる「うまみのある市場」になる可能性も秘めている。
 市場戦略は、絶対的な規模、相対的な競争関係、市場の見通しをベースに、事業目的・自社の強みから選択すればよい。強みが競争優位になるまで、市場を細分化(セグメンテーション)して、その中の一つに集中(ポジショニング)すること。
 また、モノからではなく、事業目的(定義)を再定義することによって、同じ商品でも、違った市場になる。たとえば、呉服は、「斬新なデザインの洋服へのリフォーム市場」になる。

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    【責任】    持たせると社員のやる気を増進させるもの。ただし、権限とセットでなければ機能しない。
 責任には、権限が必要であり、責任と権限には、前提となる目的が必要である。会社の目的とビジョンと目標から、個人の貢献が明確になる。責任と権限は、その貢献のために必要なものである。さて、御社は、この流れができているだろうか?

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    【ゼネラリスト】    専門性がない人の総称ではなく、他の専門家の強みを発揮させることができる能力をもつ人のこと。自分の成果を上げるために、他の人間のニーズ・方向・限界・認識を十分に知らなければならないことを理解している人。
 私が人事制度の作成を支援するときには、監督職から上を、一般的な監督職コース・専門職コースとせずに、管理職コース・専門職コース・普通職コースの3つの路線をわかるようにアドバイスしている。
 管理も出来ない、専門知識もない人がいるからだ。監督職・管理職は、担当職の上位職ではなく、監督・管理という専門職だ。ゼネラリストはそれに相当する。

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    【成果をあげる能力の修得法】    成果の上がる方法を習慣化すること。習慣化すべきことは、(1)貢献するように決断する、(2)貢献の対象を自分以外に求める、(3)強みを基準にする、(4)成果をあげる領域に集中する。(5)できるまで実行する。
 学び方は人それぞれである。読んで覚えるタイプ、聞くタイプ・書くタイプ・見るタイプ・マネてやってみるタイプ。どれがよいかではなく、自分のタイプを知ることが大事。それが効率的な学び方である。ただし、効果は、(5)のできるまで実行しないと絶対に出ない。

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    【成果をあげる基本】    貢献に焦点を合わせること。また、自らの責任を中心にすえること。努力に焦点を合わせたり、下に向けての権限を重視したりしないこと。
 そのための自問は、(1)やっている仕事は報酬に見合っているか、(2)もっと生産性を上げる方法や仕事の対象はないか?
 成果を上げるのは、習慣である。習慣になるまで、成果を上げる方法を徹底すればよい。そのための第一歩が、「顧客に対する貢献」や「そのための自分の責任遂行」である。

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    【成果をあげなければならない領域】    (1)売上や利益などの直接的な領域、(2)価値の創造と価値の再確認の領域、(3)明日のための人材育成の領域。しかし、(2)と(3)は、忘れがちな領域。
 この経営環境下では、前年比110%の売上げアップを目指す方が、150%アップ目指すよりもむずかしい。110%では、今までのやり方で「もっと頑張ろう」とするからだ。
 しかし、150%では、根本から変えないと達成できない。150%のためには、(1)だけでなく、(2)(3)も必要になる。それが、戦略的な発想であり、現在と将来を同時に経営することになる。

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    【成功の鍵】    それを成功させることが、自分の仕事であり、責任だと思うこと。失敗しても、けっして他人や他のせいにしないこと。
 成功するまであきらめないこと。成功を、さらに成功させること。ただし、売上げや利益の変化、顧客の反応、競合の動きなどを、しっかりと見ておくこと。そうしないと、成功へのしがみつき、裸の王様になってしまう。

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    【成功するイノベーターの条件】    リスク志向ではなくチャンス志向であること。ベンチャー経営者を含むイノベーターは、アイデアより現金残高とバランスに関心をもつ。
 経営には、アイデア以上に実行力が大切である。実行がなければ何事も成し遂げることができない。特に企業経営の場合は、資金と活動のバランス、すなわち、マネジメント力が必要になる。

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    【生産管理に必要な数値】    平均ではなく変動幅。また、期末予測に必要な数値も変動幅である。きっちりした数値など当たるはずもなく意味もない。そのうえ算出に時間がかかる。なお、ウエイトコントロールも、目標幅(たとえば、60キロ以上~62キロ未満)で行なうとストレスがずっと減る。

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    【生産性】    効率・付加価値のこと。インプット(経営資源や努力の投入)とアウトプット(産出物、成果物)の差。
 評価指標は複数持つこと。たとえば、小売店舗であれば、同業他社緒の比較、店舗当たり、坪あたり、一人当たり、商品ごとの売上高や粗利・営業利益など指標が一つだけでは、現在と将来のバランス、目標間のバランスは図れない。

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    【生産性の向上】    同じコストであれば収入増、同じ収入であればコスト削減するように、仕事に知恵をしぼること。なお、根本的な生産性の向上には、「取扱商品の変更」「外注する、内製する」「他の仕事をする」「その仕事自体をやめる」などがある。
 日々の生産活動の改善だけに目を奪われている管理者がほとんどだ。しかし、そもそも「その仕事をやるべきどうか?」は、思考の中に入っていない。本当の生産性向上は、その「そもそも」の部分が圧倒的に大きい。

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    【生産性の目標】    付加価値をいくらにするかの目標のこと。「生産性」はコストの削減ではなく、「コスト率」の引き下げで実現する。目標は、(1)総収入に対する付加価値の割合、(2)付加価値のうちの利益の割合を設定すること。
 今期の生産性のみを向上しようとすれば、投資を抑制すれば実現できる。しかし、それは、「将来の成長の芽や利益」を削ることになる。目標も「収入と支出」「将来と現在」のバランスが大切である。

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    【成熟市場】    同じことをしていたら、利益が減る市場。知恵を使えば残存者利益を得られる市場のこと。新たな競争相手が入ってこないため、新しいやり方を持ち込むと、一人勝ちできる可能性を秘めている。
 従来通りの市場や他社がつくった市場に乗っかっているだけでは利益を出すのは難しい。差別化・独自化する何かを身につけること。無から有は生じないので、もっとも手っ取り早いのは、たとえば、他の商品・他の市場・他の国で行なっているものを「自社の原材料でできないか?」の視点で考えてみること。

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    【成長の手段】    人材育成で成長するか、買収(時間を買う)で成長するか、の方法のこと。もしくはケースバイケースで二つを併用するか。ただし、二つともうまくやれる企業は、なぜか少ない。たぶん、企業風土のせいだろう。
 良いか悪いか(適正)ではなく、合うか合わないか(適性)の問題である。どんなに良くても合わなければどうしようもない。

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    【集中】    「真に意味あることは何か」「もっとも重要なことは何か」という観点から、時間と仕事について自ら絞り込んでいく「捨てる勇気」のこと。
 良いものはたくさんある。やりたいことも山ほどある。しかし、ヒト・モノ・カネ・時間が足りない。少しずつ、すべてをするよりも、一つのことに絞り込んだ方が成果に結びつく。
 それがLED(発光ダイオード)分野で広く浅く先行したソニーより、特定分野(TV)に集中したサムソン電子の方が業績を伸ばしている理由である。

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    【専門技術戦略】    特定分野の専門知識を中心に構築される戦略のこと。また、専門技術戦略は製造業だけにかぎらない。たとえば、売るノウハウもりっぱな技術である。
 核(コア・コンピタンス)技術を中心に事業展開できるようにすること。たとえば、私の場合は「ドラッカーの経営理論を分かりやすく伝え、応用できる技術」を使って、業績伸長やV字回復を支援することをビジネスモデル(仕組み)にしている。だから、対象とする業種業態は問わない。

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    【専門市場戦略】    特定の市場に対するノウハウを武器に、対象市場の専門家になる戦略のこと。特定市場の専門知識を中心に構築されている。なお、この戦略を採用する場合、「事業領域の決定」(専門市場とはどこか?)がとくに重要になってくる。
 市場を再定義してみること。たとえば、食材であった「こんにゃく」や「ニンニク」を健康食品としてとらえ直してみるようなものである。食材の場合だと、もともと生命維持(健康を含む)が目的でもあるので、多くの食材で再定義が可能になる。どの事業でも「そもそも」から考え直すと、まったく違った効用(事業目的)が出てくるはずだ。

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    【相関関係】    正比例、反比例など、常に一定の傾向を持つこと。「好きなこと」と「上手にやれること」は、ある程度相関関係がある。「嫌いなこと」と「上手にできないこと」は、強い相関関係がある。
 しかし、相関関係は完全に一致しているわけではない。たとえば、「相対性原理」を発見した物理の天才アインシュタインは、バイオリンが大好きで一日4時間は練習していたという。そして、「バイオリンが上手になれるのだったら、何も要らない」とも言っていたそうだ。
 しかし、いつまで経ってもバイオリンは上達せず、社会に貢献したのは物理の分野だった。これは重要な示唆である。経営者もこのことを肝に銘じること。社会には、強みでしか貢献(企業の場合は売れる商品やサービス)できない。

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    【組織】    人の弱みを帳消しにし、強みを発揮させ、個々の力を総和以上にする協働体のこと。企業が変革し、環境適合するための仕組み。
 会社は自ら変革のための組織である。ときには経営環境に適合することでニーズに応え、ときには新商品・新サービスの提供という形でニーズを創り出す。両者に共通しているのは、固定ではなく変化である。
 と言うことは、変化し続けなくては、会社ではなくなる(倒産)ということだ。

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    【組織化】    経営資源であるヒト・モノ・カネを、戦略に沿って適性に分配していくこと。たとえば、トーナメント表をイメージしてもらうとわかりやすい。1番上が社長で、3段目くらいを事業部だとすると、その事業部ごとにふさわしい部長を任命し、部長に全社への貢献を目的とする事業部戦略を策定してもらう。また、全社目標に貢献するための目標を設定してもらい、その目標達成に必要なヒト・モノ・カネを申請してもらう。
 事業部長は、目標達成に必要なヒト・モノ・カネを確保して、さらにトーナメント表を、自分をトップにして、下に分割していく。
 以下、部長、課長の順に同じことを繰り返していくと、全社目標の達成に必要な仕組みができあがる。これが組織化である。

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 【組織の病状】    業績不振の会社に見られる共通の症状のこと。組織は、企業が成果を上げるための道具である。良い道具は仕事を助け、悪い道具は仕事の足を引っ張る。その道具(組織構造や運営)に次のような症状があれば、すぐに修正するか、道具を取り換えること。
 (1)管理階層の肥大化、(2)目標の貧困や混乱、(3)権限の過度の集中、(4)無能な者の放置。
 (5)部門間問題の頻発、(6)多すぎる会議、(7)他人への気の遣いすぎ、(8)職責をもたない人ののさばり、(9)戦略と連動しない度重なる組織変更、(10)経営層や管理層の年齢の偏り。
 上記は、「規模により該当しないものもある」と思われがちだが、すべての規模に共通している。(7)は顧客よりも上司を向いて仕事をしている人を想定すればわかりやすい。(10)は高齢での偏り、若年での偏りの二通りがある。

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    【組織文化】    運営力(どれくらい徹底するか)を決める要因のこと。徹底する対象は目標の達成だけでなく法律や規則の順守も含む。なお、何をするかを決めるのは戦略。
 組織文化は、その組織のトップが、何を・どれだけ言うかで形成されるのではなく、何を・どれだけ行なうかで形成される。経営は、口先ではなく実行がすべてである。

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    【多角化戦略】    新しい市場に新しい商品で進出すること。成功する秘訣は、熟知した市場であることか、核の技術を応用すること。並みレベルの会社には不向きな戦略。
 専門化(技術やノウハウの高度化)すればするほど、その利用価値は高まる。それを有効活用するために商品群や新規の事業に出るのが多角化である。つまり、専門化と多角化は別々のものではない。
 私の場合、ドラッカーを突き詰めようとすること(専門化)によって、著書という私にとっては新市場で新商品(多角化)を実現することができた。

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    【チーム制】    専門化集団のシステム会社や広告会社などで使われる組織で、仕事ごとに必要な能力をもつ人たちで臨時のグループをつくり、その仕事を終えると解散するような組織のこと。仕事に繁閑の差があると、人が不足したり、ダブついたりする。
 チームごとの「成果とは何か?」「生産性とは何か?」「品質とは何か?」などをしっかりと定義すること。そうしないと、趣味人の集まりになってしまう。

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    【チームワーク】    目標への貢献に焦点を合わせることで成立する、上・横・下へのコミュニケーションに基づく助け合いのこと。「自分は誰に貢献しなければならないか?」「自分は誰から貢献してもらわなければならないか?」がわかったうえで実現する役割分担。
 他人のことをあ~だ、こ~だ言う前に、自分の役割をきっちりと果たすことが前提になる。

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    【チャンスを発見する視点】    (1)制約となっている弱み、(2)費用と成果がアンバランスになっている商品や活動、(3)マイナスに作用すると思われる経営環境の変化による脅威、をプラスにしようとする考え方。
 社内の弱みやアンバランスは改善の余地と見て、脅威はビッグチャンスと信じること。なぜならば、問題解決のための商品を提供するのが企業の基本的な機能である。存続の前提となる自社の問題を解決できないようでは、他社の問題解決などできるはずがない。
 改善や革新には、「物理的な壁」「制度的な壁」「心理的な壁」の3つの障害がある。しかし、「心理的な壁」を越えれば「制度的な壁」も「物理的な壁」も大した障害ではなくなる。

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    【チャンスの分類】    チャンスには、次の3つがある。(1)すべての業務に改善の余地があり、その改善が利益に直結する改善的なチャンス、(2)現在の商品に付加価値をつけたり、成功をさらに活かしたりする付加価値的なチャンス、(3)今日の経営環境では従来のやり方が通用しない。これは根底から見直す革新的なチャンス。
 これが最高と言うものはない。それはつくっている人間が完ぺきではないからだ。また、成功を放置しておく手はない。それに付加価値をつければ成功を活かすことができる。
 なお、余分なものを取り除き、顧客の費用対効果を高めることでも顧客にとっての付加価値は上がる。さらに、まったく新しいものにチャレンジできる(しなければならない)のが、現在のような乱気流時代である。

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    【知恵】    データや情報など、知っていることを仕事に結びつけて成果を上げる能力のこと。偏差値の高い学校を出た人が、必ずしも社会人として成果を上げられないのは、知恵がないため。インプット型の学校の成績と、アウトプット型の仕事の成績とは、求められる能力が違う。仕事におけるインプットは前提であり、制約である。
 知らなければアウトプットできないが、知っていても使えなければ意味がない。成果を上げるためには、構想力や構築力、実行力など、情報処理能力だけでなく、他の「力」が必要になる。

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    【知識】    仕事における知識とは、学習と経験で身につける「成果を上げるためのノウハウ」のこと。いくらたくさんのことを知っていても、仕事に使えなければたんなる物知りにすぎない。  知識には体系的に学習することで身に付くものと、技能のように反復的な訓練(修行)で身に付くものがある。あるいは、外科医のように両方が揃わないと役に立たないものもある。

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    【知識労働者】    組織の目的に沿い、かつ、他の人にその成果を活用してもらって、はじめて本当の貢献をあげることができる人たちのこと。彼らの仕事の本質は考えること。仕事量やコストによって評価されるのではなく、結果(貢献度)によって評価される。
 知識労働者には、専門家や研究者などスタッフ関係ばかりでなく、管理者も含まれる。また、一般的には肉体労働・サービス労働と言われている分野でも、知識を活用すると、生産性は飛躍的に向上する。

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    【強み】    ヒト・モノ・カネ・時間を集中的につぎ込むところ。コスト以上の成果が得られるのはここだけ。しかし、自社の強みを自覚している企業は圧倒的に少ない。それを活用している企業はさらに少ない。
 自分の姿を直接見ることはできない。そのためには、外から見ること。比較対照すること。ただし、誰と比べるかが非常に大事。
 ニッチ戦略、細分化(市場のセグメンテーション)、ポジショニングを明確にしてこそ差別化も可能になる。自力でむずかしいときには誰かの力を借りること。

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    【強みを活かす】    弱みでは魅力が出せない。強み活かすためのステップは、(1)強みを知る、(2)仕事の仕方を知る、(3)学び方を知る、(4)価値観を優先する、(5)強みに集中しさらに磨きあげる、こと。
 超一流の仕事をしている人たちは、単純だが易しくはないこの方法を徹底的に実践しているだけだ。

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    【強みによる人事】    万能な人はいないので、人の弱みには目をつぶり、強みを発揮させること。強みを知るチェック項目は、(1)彼が良くやった仕事は何か、(2)彼が良くやれそうな仕事は何か、(3)彼がより良い仕事をするために何を身につけなければならないか、(4)その方法はどんなものかなど。
 どんなものでもよい。仕事に貢献できるものがあるなら、それを徹底的に磨かせること。本人が気づいていないこともある。「これは」と思うものがあれば、やらせてみること。

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    【強みにもとづく経営】    強みをさらに強くすることで他社より秀でたものを創り出す企業運営のこと。努力は「コスト」にすぎない。同じコストなら、成果の大きい方に努力を集中すべき。だから、得意な能力を活かせる市場を選ぶこと。そして、そこにヒト・モノ・カネ・時間を集中投入する。
 顧客がお金を支払ってくれるのは、「強みに対して」である。強みが強ければ強いほど、弱みには目をつぶってくれる。反対に、強み見がなければ、弱みに対して厳しい指摘を受ける。したがって、「集中すべきは強み」である。そこで問うべきは、「この環境変化の中でも、その強みは顧客に支持されているか?」である。

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    【定量化】    企業の内部に関するデータや都合のよい外部のデータだけを使って数値化すること。定量化には、誰かがその情報を定義し、その定義に基づいて集めたデータを数値化したものである。
 と言うことは、誰かのバイアス(偏見・思わく・勘違い)が入っており、「使いものにならない」か「すでにビジネス・チャンスの機を逸している」と考えたほうがよさそうだ。必要なものは定性的な情報である。

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    【徹底】    わかるまで考え、できるまでやり抜き、さらに創意工夫すること。利益をあげる原動力は徹底である。
 何を徹底させるのかが、あいまいな企業が多い。やるべきことが多すぎて、「すべてやれ」と一言で済むような印象を受けるものもある。決して悪いことではないが、現実的にできるのか? を考える必要がある。
 その前に、スポーツと同じように、基本プレーと、それに必要な基礎知識を明らかにしておきたいものだ。これもスポーツと同じように、基本プレーが徹底できているチームは強い。強いというより、変な負け方(ケアレスミス)はしない。仕事も同じである。
 自社における基本業務明らかにし、それをマニュアル化(作業標準化)して、繰り返し練習させて仕事に望むこと。訓練なしに、教育だけでレベルが上がることは稀である。なお、教育とは、知らないことを教え・できないことをできるようにすること。訓練とはすでにできていることを、さらに上手にできるように継続的に反復させること。

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    【ドラッカー】   歴史上最高峰の経営学者の一人で「マネジメントの父」と呼ばれている人。ソ連の崩壊、民営化の提案、少子・高齢化社会の問題、年金問題などを指摘したたぐいまれな社会生態学者。GEをはじめ、世界的に有名な大企業のコンサルティングを行ってきた経営コンサルタント。

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    【同族企業】    無能な者でも一族というだけで重要なポストに就ける企業のこと。しかし、ほんとうは、「同族」よりも、「企業」の方を優先しなければ生き残れない。企業を優先すれば、労を惜しまず目標達成意欲も高くなるので長所が生きてくる。

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    【独自化戦略】    他社にできないことができること。たとえば、温度が低くなれば水は凍る→凍らない=不凍液、花は枯れる→枯れない=造花など、水平的マーケティングで見つける商品開発や市場開拓を基盤にした戦略。これに対して差別化は細分化を基準にしており垂直的マーケティングが基準。

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    【ニーズ】    お金を支払ってでも解決したいとお客様が思っている問題や課題解決への思い。ただし、競争相手が存在するため、利益を得るためには独自化や差別化された商品が必要になる。

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    【ニッチ戦略】    小人の国のガリバー的存在になること。小規模市場、専門市場、専門技術の三つに分類できる。なお、ニッチの規模は相対的なものであり、市場により数千万円から数十億円まである。

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    【肉体労働】    定まったことを正しくやれば、目標とする成果をあげることができる仕事のこと。サービス労働も同じ。

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    【肉体労働者】    頭脳ではなく、筋肉を使って仕事をしている人たちのこと。

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    【ノウハウ】    お金を支払ってでもほしいビジネス上の知恵のこと。最終的には商品・サービス・価格などに形を変え、利益で測定できるもの。

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    【人の成長】    能力を修得するだけではなく、人間性に磨きをかけること。できないことができるようになること。自分で考え、実行し、現状を打開レベルに上昇すること。

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    【分析から知覚へ】    当てにできなくなった過去のデータをいじくって、もっともらしい結論(言い訳)を出すのではなく、現在の市場を感じ取ること。変革期では分析に意味がなく、知覚する(感じ取る)しかない。知覚とは感覚器官を通して、外界の物事や身体内部の状態を知る働きである。変革期では過去の分析が役に立たないことがある。市場動向も分析で得た情報をもとに感じ取ること。

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    【複数の目標設定】    相反する複数の目標を、いい加減に設定した場合、達成できるのは、膨大な予算の支出だけとなる。企業経営では、利益目標を達成しなければ、他のすべての目標達成がムダになることもある。
 しかし、他の目標(出費の伴う投資や活動)を達成しなければ利益目標も達成できない。そうした視点から見ると、ドラッカーの目標設定の8領域(マーケティング、イノベーション、生産性、人的資源、物的資源、資金、社会的責任、利益)がむずかしく感じるのであれば、バランススコアカードの目標の設定領域(財務の目標・顧客満足の目標・業務プロセスの目標・成長と学習の目標)は参考になる。

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    【不況対策】    (1)上策:革新(やることを変える)で勝ち残りの可能性あり、(2)中策:改革(やり方を変える)で生き残りの可能性あり、(3)下策:今のやり方でもっと頑張ることで延命の可能性あり。

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    【物的資源の目標】    設備・施設・原材料の調達方法と時期の目標のこと。いずれも顧客と競争と支払い能力から「費用対効果」「長期と短期のバランス」で考えること。もちろん販売計画が前提となる。

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    【ベンチャー企業に必要なもの】    (1)市場志向、(2)財務の見通し、(3)経営陣の構築、(4)創業者自身の役割と身の振り方の決断、の4つ。ただし、4つには段階があり、(1)(2)は創業当初から必要、(3)は成長軌道に乗るころから必要、(4)は自分の能力と会社の規模のミスマッチが生じるころから必要になる。

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    【報・連・相】    そのまま運用すると、何も考えないバカな部下を育てることになる管理方法のこと。かならず、「それで、君はどう思う?」「どうしたいの?」などの質問といっしょに用いるべきもの。

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    【報奨(ほうしょう)】    良い仕事をすれば「昇給」させる。しかし「昇進」させるのは自分の仕事のスケールを大きく変えた者だけに与えるようにするもの。

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    【保護主義の復活】    産業は、衰退とともに経済に与える影響は小さくなり、政治に与える影響は大きくなることから庇護を求めるようになる。それに対応した政策のこと。農業がその典型。弱い産業や商品を保護するために、交換条件として、それ以外の産業や商品が犠牲になる。これからは製造業もその対象になる可能性が大きい。

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    【マーケティング】    売れる仕組みづくりのこと。お客様を起点・基点とする発想および活動のこと。通常、小売業や卸売業では仕入、製造業では製造から仕組みを考えがちだが、マーケティングは、顧客の使用状況・購入現場からさかのぼって仕組みをつくっていく。

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    【マーケティングの目標】    「顧客創造」の展開を、売上と市場シェアなどで表わすもので、一つで表すことはできない。集中すべき事業領域の決定と、市場地位の決定にもとづいて行われる。
 具体的には、(1)現在の市場で現在の商品の売上高やシェア、(2)新市場で現在の商品の売上高やシェア、(3)現在の市場で新商品の売上高やシェア、(4)新市場で新商品の売上高やシェア、(5)利益のとれない顧客、売れない商品や販売ルートの廃棄や撤退、(6)および売上げを左右するサービス内容。

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    【マネジメント】    計画・実行・評価のサイクルをまわすこと。適性な翻訳は「管理」ではなく「経営」。まず、自分自身に対して行うもの。自分自身のマネジメントができない人には、他人のマネジメントなどできるわけがない。

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    【モチベーション】    (1)人の正しい配置、(2)仕事の高い水準、(3)自己管理に必要な情報の提供、(4)決定への参画で実現可能なもの。以上の四つの要素がそろい、責任ある仕事を求めることで実現できるもの。

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    【目標管理】    「ノルマ管理」をごまかすための表現のこと。結果の管理。上司の役割は叱咤・激励と叱責・詰問。

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    【目標による管理】    会社全体の目標から自分の目標を設定し、その目標によって行動を明らかにし、達成するまで自立と自律で努力すること。上司の役割はアドバイスやサポート。だから、目標達成意欲があり、がんばる人にしか使えない。そうでない人には、従来通り、指示・命令による管理の方が適している。なお、「管理」を「経営」とした方が理解しやすい。

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    【有能な管理者】    自分より優れた能力をもっている人を使う術を知っている人のこと。専門分野の一つに優れた人間の弱みや欠点部分をカバーして、強みを発揮させる方法を知っている人。

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    【優先順位】    分析ではなく、もっとも「勇気」を必要とするもの。(1)過去ではなく、未来を選び、(2)問題ではなく、機会に焦点を合わせ、(3)横並びではなく、独自に方向を決め、(4)無難で容易なものではなく、変革をもたらすものに焦点を高く合わせるもの。

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    【弱み】    致命的なもの以外は無視か後回ししてよいもののこと。克服しても並みの能力にしかならないものもあれば、克服することで利益の大幅アップに転換するものもある。

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    【よい人間関係】    自分の仕事やほかの人間との関係において、貢献に焦点を合わせることによって築けるもの。生産的であるということが、良い人間関係の唯一の定義。

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    【よく管理された工場】    静かで整然としている工場のこと。危機が予測されるものは対処方法がルーティン化されている。そのため、劇的なことは何も起こらない。

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    【四つのリスク】    ビジネスは、将来のことに対して、今、準備をして取り組むものだから、リスクを回避することはできない。そのリスクには、(1)負うべきリスク、(2)負えるリスク、(3)負えないリスク、(4)リスクを負わないリスクの四つがあるが、変革期には4番目のリスクが最大のリスクとなる。
 それぞれのリスクについて、予防策、発生したときの対処法や、リスクの大きさを数値化しておくこと。

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    【楽(らく)して儲ける】    既得権が守られ、創造と変革がなくても経営を維持できるときのみ可能なこと。現在のような市場においては単なる妄想。

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    【利益】    顧客への貢献度の物差し。税金・出資者への見返り・投資への備え・将来に起こり得る業績不振への備え。つまり、どのように考えても(将来の)コストである。

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    【リーダーシップ】    資質でもカリスマ性でもなく仕事ととらえるべきである。仕事であればやるべきことをやりさえすればよい。

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    【ルーティン化】    判断力のない人たちでも、天才的な人間を必要としたような仕事を処理できるようにしてしまうこと。非常に有能は人間が、過去の恐るべき危機から学んだことを、体系的かつ段階的な形にまとめてしまうこと。「マニュアル化」とも言う。
 なお、マニュアル化と言うのに抵抗があれば「業務の標準化」でもよい。誰がやっても「やるべき範囲」と「レベル」と「スピード」を同じにすること。

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    【割安感】    企業ではなく、顧客が、「価格より商品価値が上回っていると感じる」ことに意義があるもの。その決定権は顧客にある。企業が「割安ですよ」と言うのは単なるセールス。

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